「多文明多文化の時代」の必読書
2章「文明としてのイスラーム」は、読者のイスラームに対する見方を変えることだろう。イスラームは特定の地域に固定されていない「非地域的文明」であり、個々人が「匿名性」を保ちつつ「偶然の集団」や「臨時の社会」にかかわっていく。それは現代のインターネット的状況と似ている。「ネットワーク文明」としてのイスラームは、「多文明多文化の時代」である21世紀に、柔軟に拡大しつづけていくだろう、と著者は言う。 5章「汎インド文明概論〜インドにおける文明融合と新文明形成のダイナミズム〜」では、インドという「文明交流圏」における多文明の交流と融合がダイナミックに論じられており、比較文明学の醍醐味を味わせてくれる。 本書は、読者の目を世界史の大きな地平へと向けさせ、多文明多文化共生の道を模索していく上で、有益な知識と知恵を与えるに違いない。
朝倉書店
|